さて、ここまで消費者に関する経済指標と、企業側に関する経済指標と順番に見てきました。
消費者
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- 消費者物価指数
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企業
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今回は、国に関する指標について見ていきたいと思います。
ポイント
国の経済指標は国内の収支と貿易による収支に注目しておく
国内総生産(GDP)
これまでは、雇用の状態や住宅の建築・販売状況などを個別に見てきましたが、これらの個別の経済指標を総合すると国内の経済状況を把握できるようになります。
その際に確認する指標が「国内総生産(GDP)」になります。
GDPで分かるのは、製品などの売り上げからその製品に関する経費を引いた分となります。
あくまでも国内で生産されたものに限るので、外国で生産されたものは含まれません。
国の経済力を図るこの指標から、現在、日本がアメリカ、中国に次ぐ世界3位の経済規模を誇っているのが分かるのです。
GDPには、「名目GDP」と「実質GDP」の2つがあります。
経済の実情を図る場合は、物価変動の影響を取り除いている「実質GDP」の方が重要視されます。
GDPの内、70%を実に個人消費が占めています。
つまり、国内で生産されたモノやサービスが国内で売れていくとさらに、モノやサービスが生産され・・
という景気の上向きサイクルとなり、経済状況も良くなっていきます。
しかし、現在の日本では、GDPの内、10%ほどを占める企業の設備投資が順調であっても、そこから生まれる製品を消費してくれる個人の需要が低迷しているのです。
本来であれば、日本企業が外国に出ていくのを防ぎ、国外から企業を誘致できれば投資先としての魅力が増え、国内雇用も高まり、通貨価値が高まって、金利が上がっていくのです。
残念ながら、長生きリスクや貯蓄体質の日本には、少子化の波が押し寄せている理由もあり、中々国内消費が向上しないのが現状となっています。
2022年現在、アメリカは2四半期連続でマイナス値となっており、リセッション入りの懸念がまだくすぶっている状態です。
メモ
発表:商務省
時期:四半期(1次速報と2次速報の2つ。それぞれは1ヶ月の差がある)
貿易収支
「GDP」でも触れましたが、超高齢社会となった日本国内の個人消費が先細りしていく現状と、貿易による収支は密接に関わっています。
これと言った資源のない日本では、輸入した資源から新たな製品を産み出し国内向けに供給しますが、先に挙げた理由などで国内消費が芳しくありません。そこで、国内で生み出された製品を「海外に輸出する」という流れが非常に重要な役割を占めてくるのです。
そして、こういった原料の輸入や製品の輸出などで「貿易収支」が算出されます。
貿易収支は、「輸出-輸入」がプラスなら「貿易黒字」となり、マイナスなら「貿易赤字」となります。
貿易収支の黒字が多ければ多いほど、獲得する外貨が多くなり、いずれ日本円に換金されます。
つまり、「日本円に換金」とは「日本円を大量に買う」わけですから「円高」となるのです。
本来、輸出が絶好調であれば、海外でモノが売れてうれしいのですが、売れば売るだけ「円高」となる可能性が高まります。
さらに、安全資産である日本円はむしろ日本の国内事情に関係なく買われる傾向にあります。
普通、その国の経済に元気がなくなると通貨も合わせて価値が下がる(円安)のですが、日本は急激に「円安」となる要因があまりありません。
円高が続いて貿易黒字が大きくなりすぎても手放しで喜べないのです。
一方、赤字が増えると、いずれ持っている日本円を外貨に換金して支払う必要が生じます。
「日本円を外貨に」とは「日本円を売って外貨を買う」わけですからこちらは「円安」となります。
しかし、穀物や原油の輸入では逆に円高の恩恵を受けられるので、貿易収支で極端なダメージを受けずに済んでいるのが現状です。
アメリカは、恒常的に貿易赤字が続いているので、そのインパクトの薄さから現在あまり主要な指標とは捉えられていません。
メモ
発表:商務省
時期:毎月
フェデラル・ファンド金利
「FFレート」と呼ばれる、アメリカの実質的な政策金利となっているのが、この「フェデラル・ファンド金利」となります。
「FRB(米連邦準備理事会)」が「FOMC(米連邦公開市場委員会)」で決定する誘導目標金利となり、景気によって大きく調整されます。
この金利が大きく動く時は、為替レートの大きな変動要因となります。
インフレなどの物価上昇時や、景気が拡大しすぎと判断された際には、金融引き締めのためにこの「FFレート」を引き上げます。
まとめ今回は2つ
日本にとっても大事な米国の指標である3つを抑えておきましょう。
- 国内総生産(GDP)→実質GDP
- 貿易収支
- フェデラル・ファンド金利
特に、海外株式や海外ETF、FXなど為替に絡んでくる取引には、各国のこれらの指標にも注目しておきたいところですね。