つい先日、クレジットカードで購入する投資信託の積立の話や金融商品の購入・保有でポイントが貯められるお話を書きました。
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「クレジットカードで使うお金」や「様々な商品を購入して付いてくるポイント」というのは、実際に目に見えるものではありません。
そのため、”ついついカードを使い過ぎてしまって・・”という嘆きや”期限到来で利用できなくなったポイントがたくさんある”というようなお話などは結構耳にすると思います。
目に見えないものをまるでそこに存在しているかのように使えるものが、インターネットや通信スピードの改善などで増えてきたわけですが、今回のお話も目には見えないけど多くの方が当たり前のように利用しているものが関係しています。
そう、それは「電子マネー」です。
電子マネーを利用した詐欺の概要
以前、当サイトでも詐欺に関する話題を取り上げましたが、それは「うまみのある話」に釣られて多額のお金を払ってしまったいわゆる「投資詐欺」についてでした。
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今回は、「投資」に関する詐欺ではないのですが、最近多い「電子マネーのカードを読み上げさせる」という一見分かりづらい架空請求詐欺になります。
札幌・白石警察署は5日、札幌市白石区に住む70代の男性が、
110万円をだまし取られる架空請求詐欺事件が発生したと発表しました。
警察によりますと、3日、被害にあった男性が使用する会社事務所のパソコンが作動しなくなり、
画面に「ウイルスに感染した」などとメッセージが表示されました。
男性が表示されていた連絡先に電話したところ、マイクロソフトサポートセンターの職員を名乗る男に、
「ウイルス除去をするため5万円が必要だ」などと言われ、それを信じた男性は、
白石区のコンビニで5万円分の電子マネーのカードを購入。
再度男に連絡したものの「番号が違います」などと言われ、
その後、合わせて22回にわたり総額110万円分の電子マネーを購入し、全額だましとられたということです。
後日、修理費分の5万円を差し引いた105万円が返金されると聞いていた男性が、
期日になっても返金されないことを不審に思い、警察に相談し被害が発覚しました。
さて、「投資詐欺」でもそうなのですが、まず何にしても「いきなりお金を振り込むように指定する」流れになったら一旦”深呼吸”してから『何かがおかしい』と思いましょう。
今回のお話は、「電子マネーカードの番号を聞き出す」ために犯人側が、
- パソコンがウィルス感染→焦り・不安
- 連絡先が画面に表示される→一縷の望み
- マイクロソフトのサポートセンターの表示→安心
- 電話をかけさせる→救いの望み
という状況を作ったわけですが、「電子マネーカードの番号を聞き出すってどういう意味??」と思った方も多いかもしれません。
コンビニでも売っているプリペイドカード
実は、コンビニなどで「プリペイド(先払い)カード」というものが売っていて、これがいわゆる「電子マネーカード」になります。
この男性は、プリペイドカードを買う際にまず5万円を支払っています。
そして、この5万円が事前にチャージした金額となり、このプリペイドカードは5万円と同じ意味になりました。
ただ、これだけでは、プリペイドカードを持っているこの被害男性しか5万円を使えません。
犯人側がこのプリペイドカードを使うには、カードの裏面に記載されている「カード番号」を入手する必要があります。
そこで、「番号を確認したい」などと言って、被害男性にカード番号を読み上げさせたわけですね。
助けてほしいと思っていた被害男性は、言われるまま「カード番号」を伝えたのですが、おそらく犯人側がこれで味をしめたのでしょう。
つまり、”プリペイドカードや電子マネーをよく分かっていない。まだまだ取れる”という確信を持ったのでしょうね。
カード番号は絶対に教えない
もし、今回の被害男性が「プリペイドカード」というものをある程度分かっていたら、カード番号を伝える時点で『おかしい』と思ったかもしれないし、『カード番号が違うというのはどういう意味?』と聞き直せたかもしれません。
もしかすると、被害男性はプリペイドカードが手元にあるので「お金を使われると思っていなかった」可能性もありますね。
プリペイドカードは実際に手元になくても、カード番号さえ分かればカードの額面金額(チャージされた金額)は使えるようになります。
絶対、他人にカード番号を教えてはいけません。
では、被害男性は、なぜこんなに簡単に22回も続けてプリペイドカードを購入してしまったのでしょうか。
それは、被害男性が警察に届け出た理由を「予防線」として張っていたからです。
巧妙な予防線には気を付ける
「5万円でプリペイドカード購入」
「番号が違うから買い直して」
というやり取りを実に22回繰り返して合計110万円をだまし取られたのですが、本来なら22回プリペイドカードを購入する間(もしくはカード番号を教えろと言われた時点)に『おかしい』と気が付いてほしかったです。
報道ベースによれば、犯人側が「修理費の5万円以外は全額返金する」と伝えていたようなので、これがお金を騙し取るための予防線になっているわけですね。
これを言われてしまうと、おそらく”じゃぁ、安心だ”となるかもしれません。
そうなると、やはり「プリペイドカード」の特徴を把握しておくか、とにかく「こういう電子マネー詐欺の可能性はいつでも起きる」とい心構えをしておくしかないでしょう。
まとめ目に見えていそうで見えないモノ
さて、冒頭で「クレジットカードのお金」や「何かにくっついてくるポイント」、「電子マネー」は”目に見えない”というお話をしました。
実際は、今回の「プリペイドカード」だったり、「クレジットカード」、「ポイントカード」として目の前には存在しています。
しかし、手にしていたプリペイドカードの向こう側にある「5万円」というお金が、被害男性には見えていなかったかもしれませんね。
1枚5万円で買ったプリペイドカードが10枚手の中にある、というのは50万円を持っているのと同じ意味になります。
もし、手にしていたのが1枚のプリペイドカードではなく、5万円という現金であれば、その時点でも「やばい」と思ったかもしれません。
この手の詐欺案件は、いつでも身の回りに起こりえます。
皆さんも良い投資を行うのと合わせて十分にお気を付けください。