投資信託の落とし穴

誰も教えてくれない投資信託の落とし穴―その3(経営破綻ってある?)―

2022年8月30日

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前回、投資信託(ファンド)の良し悪しを見つけるのに必要な「騰落率」「シャープレシオ」についてお話しをしました。

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今回は、ファンドを運用する前段階のお話で、投資家から集めたファンドの資産を管理する「受託会社」や、実際の運用を担当する「委託会社(運用会社)」が経営破綻した場合、「投資家がお任せした資産はどう処理されるのか」について焦点を当ててみたいと思います。

ファンドに関わる会社をおさらい

さて、ファンド購入時に関わる3社についておさらいしてみましょう。

ファンド購入に関わる3社

■販売会社
ファンドを取り扱って投資家に販売する会社です。

■委託会社(運用会社)
投資家から集めた資産を実際に運用する会社です。

■受託会社(管理会社)
ファンドの資産や運用利益などを管理する会社です。

投資家から集めた大事な資産を管理するのは、「受託会社」です。

「〇〇信託銀行」のようにほとんど信託銀行の担当になります。

販売会社や委託会社は、受託会社が管理する投資家の資産には一切タッチできません。

同じく、受託会社も自社の資産と投資家の資産は分別して管理されています。

投資信託と銀行預金の違い

分配金のある「投資信託」は、利息のある「銀行預金」とよく比較されるのですが、この2つの金融資産には大きな違いがあります。

まず、投資信託で集められた資産は管理会社で「信託勘定」が設定され、他の財産とは区別して管理されます。

「信託勘定」に入っている資金は、例え管理会社が破綻しても全額が保護されます。
しかも、保護される金額に上限はありません。

もちろん、「信託勘定」を管理する「管理会社」に投資信託の運用指示を出す「運用会社」や投資信託の販売や分配金や売却金などを投資家に支払う「販売会社」が潰れても、同じように全額が保護されるのです。

一方、銀行が破綻した場合は、投資家の資産は一定の金額までしか保護されません。

銀行、投資信託を管理する会社の両方が経営破綻した場合をまとめると以下のようになります。

銀行預金 投資信託
預金1,000万円とその元本までを保証 販売会社・運用会社・管理会社のいずれか、またはすべてが破綻しても全額保護
保護される金額も無制限

予期せぬ損失はあり得る

とりあえず、投資信託に関わる会社が全部潰れても、自分の資産は守られると分かって安心した方も多いのではないでしょうか。

ただし、経営破綻によって、自分の保有している資産が予期せぬ損失となる可能性はありますので、その辺を見ておきましょう。

委託会社が破綻した場合

委託会社(運用会社)が破綻しても、投資信託に投じた資産は全額保護されます。

しかし、この時点で保有していた各ファンドの運用成績がマイナスだった場合は、強制的に償還される可能性もあります

つまり、もう少し我慢して保有していればプラス局面に転じたかもしれないのに、やむを得ず運用が終了となってしまうパターンですね。

引き継いでくれる他の運用会社があればそのまま保有できます

管理会社が破綻した場合

管理会社も運用会社同様、破綻しても全額保護されますが、引き継ぐ管理会社がない場合は、破綻時の基準価額で強制的に解約となります

保有していたファンドの運用成績如何によっては、やはりマイナスとなってしまう可能性があるでしょう。

まとめあまり気にする話ではないかも・・

例えば、全ファンドに100万円を投じていて、管理会社が破綻した時に、合計の利益が30万円あって、本来なら時価評価で130万円あった場合、この130万円が全額保護されます。

もし、1億円を投じて500万円の利益が出て、1億500万円の時価評価であっても同じように1億500万円全額が保護されるのです。

したがって、たまたま下落局面でこの先しばらく保有を考えていた時に、管理会社に破綻されて、引き継いでくれる会社もなくて、持っているファンドがマイナスで強制解約されたら・・・
目も当てられないわけです。

まぁ、持っているファンドがすべて同じ管理会社・・というのもそうはないので、このあたりの話はあまり気にする必要はないかもしれませんけどね。

どの管理会社も(販売会社や運用会社もですが)自社が経営破綻した後の話は書きたくないし、そうそう分かりやすくは披露しません。

万が一今回のような事態になったら、”こういう流れになるんだなぁ”、と思い出してもらえればいいと思います。

  • この記事を書いた人

宮嶋僚

北海道の道南で小さな会社を経営する兼業個人投資家です。投資をこれから始める人のために分かりやすくそして役に立つサイト運営を心がけています。 どうぞよろしくお願いします。

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