「ETF」は株式市場に上場している投資信託になります。
一般的な投資信託と比較してみると、売買時、そして保有時には手数料に違いがあります。
ここでは、「国内ETF」、「海外ETF」、「投資信託」のそれぞれの手数料を「SBI証券」と「楽天証券」の2社で比較してみたいと思います。
目次
売買手数料
国内ETF
「国内ETF」の売買は、「国内株式」と同様になります。
つまり、手数料も国内株式の売買に掛かる手数料と同じ体系になります。
ここでは、両方の証券会社とも「現物取引」での手数料を見ていきましょう。
SBI証券
「SBI証券」は、「スタンダードプラン」と「アクティブプラン」の2種類を用意しています。
1注文の約定代金に対して手数料がかかります。
例えば、株価45,000円のETFを購入した場合、5万円までの注文になるので、55円(税込)が手数料として発生します。
1注文の約定単価が上がるにつれて、手数料も上がっていき、3,000万円を超える約定代金から1,070円(税込)と固定になります。
1日の約定代金合計に対して手数料がかかります。
合計の約定代金が1,000,000円以下の場合、手数料は発生しません。
1日の約定代金の合計が300万円を超えると以降100万円増えるごとに295円増加していき、手数料が固定化される約定代金はありません。
「スタンダードプラン」で3,050万円の約定代金は1,070円で済みますが、「アクティブプラン」の場合、3,050万円の約定代金は10,000円弱かかります。
1注文で高額の取引を行う方は、「スタンダードプラン」が向いていると思います。
この「スタンダードプラン」で取引すると、月間合計手数料に対し「1.1%」の「Tポイント」が付与されます。
「アクティブプラン」は、1日に何度も取引するデイトレードや少額での取引が多い方など、1日の取引回数が多い方に向いたプランになっています。

ポイント
なお、「信用取引」でも国内ETFを取引できますが、「スタンダードプラン」、「アクティブプラン」でそれぞれ現物と信用の手数料の違いを一覧にしてみました。
※すべて税込
現物取引 | 信用取引 | |
---|---|---|
スタンダードプラン (1注文の約定代金合計) |
5万円まで55円 10万円まで99円 20万円まで115円 50万円まで275円 100万円まで535円 |
10万円まで99円 20万円まで148円 50万円まで198円 50万円超385円 |
アクティブプラン (1日の約定代金合計) |
100万円まで0円 200万円まで1238円 300万円まで1691円 以降100万円増加ごとに295円ずつ増加 |
100万円まで0円 200万円まで880円 以降100万円増加ごとに440円ずつ増加 |
信用取引の方が、取引金額によっては若干手数料が安い傾向にある上、信用取引の取引状況などによっては「信用取引の取引手数料が0円になる大口優遇」もあります。
なお、国内ETFの全銘柄が、信用取引での取引手数料が無料となります。
楽天証券
「楽天証券」は、「超割コース」と「アクティブプラン」の2種類を用意しています。
1注文の約定代金に対して手数料がかかります。
例えば、株価45,000円のETFを購入した場合、5万円までの注文になるので、55円(税込)が手数料として発生します。
1注文の約定単価が上がるにつれて、手数料も上がっていき、3,000万円を超える約定代金から1,070円(税込)と固定になります。
1日の約定代金合計に対して手数料がかかります。
合計の約定代金が1,000,000円以下の場合、手数料は発生しません。
1日の約定代金の合計が300万円を超えると以降100万円増えるごとに1,100円増加していき、手数料が固定化される約定代金はありません。
「超割コース」は、SBI証券の「スタンダードプラン」と手数料の額や一律になる3,000万円のラインが全く同じとなっています。
「いちにち定額コース」は、手数料が0円となる約定代金は1,000,000円で一緒ですが、1日の約定代金が大きくなると、SBI証券の「アクティブプラン」よりも手数料が割高となります。
「超割コース」で取引すると、月間合計手数料に対し「1%」の「楽天ポイント」が付与されます。

ポイント
なお、「信用取引」でも国内ETFを取引できますが、「超割コース」、「いちにち定額コース」でそれぞれ現物と信用の手数料の違いを一覧にしてみました。
※すべて税込
現物取引 | 信用取引 | |
---|---|---|
超割コース 1注文の約定代金合計 |
5万円まで55円 10万円まで99円 20万円まで115円 50万円まで275円 100万円まで535円 |
10万円まで99円 20万円まで148円 50万円まで198円 50万円超385円 |
いちにち定額コース 1日の約定代金合計 |
100万円まで0円 200万円まで2,200円 300蔓延まで3,300円 以降100万円増加ごとに1,100円ずつ増加 |
楽天証券の「いちにち定額コース」は、現物も信用もすべて合わせた金額になります。
信用取引の方が、取引金額によっては若干手数料が安い傾向にある上、信用取引の取引状況などによっては「信用取引の取引手数料が0円になる大口優遇」もあります。
なお、SBI証券と同じく国内ETFの全銘柄が、信用取引での取引手数料が無料となります。
海外ETF
「海外ETF」の売買は、外国株式と同様になります。
つまり、手数料も外国株式の売買に掛かる手数料と同じ体系になります。
ここでは、「米国株」「米国ETF」の手数料体系を見ていきます。
ただ、「米国ETF」を始め「海外ETF」を購入する場合、避けて通れないのが「為替取引」になります。
「日本円を米ドルに替えて米国ETFを購入する」という場合に、円とドルで為替取引が必要となるのです(売却時も為替取引が生じます)。
しかし、この2つの証券会社はどちらも「円貨決済」か「外貨決済」かを選択できるようになっています。
出所:SBI証券
それぞれのメリットとデメリットを挙げておきましょう。
円貨決済 | 外貨決済 | |
---|---|---|
私たち購入者が何も手続きしなくても外貨に替えられる | 為替取引の指値はできないものの為替相場を考慮しながら外貨を取得できる | |
為替相場を考慮して外貨を取得できない | ・注文前に為替取引にて外貨を取得する手間がかかる ・外貨を取得してから、外貨建商品を買い付けるまでに発生した為替差益は雑所得とみなされ、投資家自身で損益計算の上、確定申告が必要となる場合がある |
「円貨決済」を選択した場合は為替手数料を考慮しなくてもいいですが、「外貨決済」を選択した場合は事前に為替取引が必要となりその分の為替手数料が発生します。
「海外ETF」の購入時は注意しておきたいところですね。
なお、どちらの証券会社も円と米ドルの為替手数料は片道「0.25円/ドル」となっています。
SBI証券
約定代金の「0.495%(税込)」が取引手数料となります。
手数料の上限は決まっていて、「税込22ドルまで」となります。

「SBI証券」は外国株の信用取引も可能となっているので、「米国ETF」も信用取引を利用できます。
信用取引であれば、約定代金の「0.33%(税込)」が取引手数料となります。
楽天証券
約定代金の「0.495%(税込)」が取引手数料となります。
ただし、約定代金が「2.22ドル以下」であれば手数料は無料となります。
手数料の上限はSBI証券と同様「税込22ドルまで」となります。

「楽天証券」は外国株の信用取引も可能となっているので、「米国ETF」も信用取引を利用できます。
信用取引であれば、約定代金の「0.33%(税込)」が取引手数料となります。
投資信託
「投資信託」は、「SBI証券」、「楽天証券」とも購入手数料は全てのファンドが無料です。
また、購入時に為替取引が発生する場面もないので、投資信託の購入時に掛かる手数料は実質0円となります。
売却時は、「信託財産留保額(解約時に支払う。解約時に受け取る金額から差し引かれる手数料)」が掛かります。
売却金額から「信託財産留保額」を差し引かれて、私たち投資家の手元に金額が返ってきますが、ファンドによっては「信託財産留保額」が発生しないものもあります。
保有中の手数料
国内ETF
「国内ETF」は、「投資信託」と同様に、保有している間に「信託報酬」が発生します。
ただし、信託報酬は基準価額に反映されるので、直接支払ったりする必要はありません。
SBI証券
「SBI証券」はETF銘柄の一覧で「信託報酬」を確認できます。
各銘柄の個別ページに入ると、信託報酬を確認できる場所がないので、一覧ページで確認してみてください。
なお、銘柄の「目論見書」を見ると、もう少し信託報酬の詳細を確認できます。
出所:「NEXT FUNDS TOPIX連動型 上場投信」(以降NF TOPIX)の目論見書
販売会社である「SBI証券」では、「NF TOPIX」の「信託報酬」は「0.088%」と簡易的に表示されていましたが、もう少し砕いてみると以下の点が分かります。
- ファンドの純資産総額が増えると、一定の範囲で信託報酬が安くなる
- 貸株を行うと、1日につき一定の手数料が発生する
- 上2つとその他諸費用を合わせても信託報酬の総額は最大で0.264%(税込)までとなる
今回は、「NF TOPIX」を例に「実際の信託報酬」を少し詳しく見てみました。
「ETF」も株と同様、貸株ができるので、貸株中は貸株金利を受け取りつつ、ファンドに対しては費用が発生します(貸株のお話は以下をご参照ください)。
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上の目論見書の赤い囲み部分を見ても分かる通り、「投資信託」と違ってETFの信託報酬が安いのは、「販売会社への手数料がない」からです。
「投資信託」での販売会社は、投資家と運用会社の間に立ち、分配金や償還金の支払いから運用のアドバイス、目論見書や各種レポートの発行など役割も大きく、販売会社となる証券会社や銀行、郵便局などに信託報酬が支払われています。
一方「ETF」では、株式と同様なので、証券会社でしか取引できず、購入の際の購入時手数料を証券会社に支払うだけとなるため、信託報酬が少し安くなるのです。
投資信託にあるのにETFにないのは
今回例に挙げている2つの証券会社を見てお分かりだと思いますが、ETFの各銘柄には「目論見書」や「運用報告書」などの書類をダウンロードする場所はありません。
これは投資信託と違って、交付義務がないからです。
上の画像では「NF TOPIX」の目論見書を表示していますが、これは直接運用会社の「野村アセットマネジメント」のホームページから「NF TOPIX」の情報へアクセスし、目論見書を参照しています。
楽天証券
「楽天証券」では「ETF」の各銘柄に「信託報酬」は表示されません。
先ほど「SBI証券」で見たように、直接運用会社のホームページから目論見書を参照して確認するしかありません。
「楽天証券」の方が信託報酬の確認にたどり着くまで少し手間がかかります。
海外ETF
「海外ETF」は、「経費率」を見るとその銘柄のおおよその手数料が分かります。
SBI証券
国内ETFと違って、「経費率」は、海外ETFの各銘柄で確認できるようになっています。
楽天証券
楽天証券も同じように、各銘柄で経費率を確認できるようになっています。
なお、楽天証券は、銘柄の詳細情報へのリンクが搭載されているので、運用会社のホームページへと簡単に移動できるようになっています。
投資信託
投資信託の保有中の費用は、「信託報酬」となりますが、証券会社などに表示されている信託報酬は「運用管理費用」だけとなる場合が多いので、その他の諸費用も合わせた「総経費率」は各ファンドの「運用報告書」を確認するといいでしょう。
SBI証券
SBI証券は、「投資信託」の各ファンドのページに「運用報告書」へのリンクがありません。
そのため、各ファンドの運用会社のホームページなどを訪問して運用報告書をダウンロードする必要があります。
「総経費率」まで細かく調べなくてもいいのであれば、各ファンドのページに載っている「信託報酬」を確認してみてください。
楽天証券
楽天証券は、各ファンドのページに「運用報告書」へのリンクが表示されています。
「運用報告書」を確認してみると、ファンドのページに表示されている信託報酬と合わせて、その他諸費用(売買委託手数料等)も含めた「総経費率」を確認できます。
SBI証券と同じように、「総経費率」まで調べなくていいのであれば、各ファンドのページに記載されている「信託報酬」を確認してみてください。
まとめ
さて、今回は「ETF」と「投資信託」の売買時、保有時の手数料を「SBI証券」と「楽天証券」の2つの証券会社で比較してみました。
このように確認してみると、手数料体系はどちらの証券会社もそれほど大差がないですね。
「ETF」と「投資信託」の購入から売却までをざっくりと以下の表にまとめておきます。
環境によっては、随所に手数料0円も出てきます。
購入時 (最初だけ) |
保有時 (毎日) |
売却時 (最初だけ) |
|
---|---|---|---|
国内ETF | 手数料プラン ※0円の場合あり |
信託報酬 | 手数料プラン ※0円の場合あり |
海外ETF | 取引手数料+為替手数料 ※0円の場合あり |
経費率 | 取引手数料+為替手数料 ※0円の場合あり |
投資信託 | 購入時手数料 ※0円の場合あり |
信託報酬 | 信託財産留保額 ※0円の場合あり |