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2024年から始まる「新NISA」!現在からの変更点と今後の利用方法について解説

2022年8月19日

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金融商品の売却益や配当金などが一定枠で非課税となる現行の「NISA」制度については、以前にも当サイトでご紹介していました。

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2023年で終了予定だった現行の「NISA」がさらに5年間延長となります。

非課税の恒久化も視野

2022年11月25日の資本主義実現会議の分科会で、岸田首相は「一般NISAとつみたてNISAの双方の恒久化を実施し、金融商品から得た利益が非課税となる期間を無期限化する」とのプランを表明しました。

2024年1月から始まる延長分は、新しい「NISA」制度(以降、新NISA)となるわけですが、今回はこの「新NISA」についても触れてみたいと思います。

ジュニアNISAの廃止

まずは、「新NISA」の開始に伴って廃止される「ジュニアNISA」について見ていきましょう。

19歳以下の未成年者が口座を作成できた「ジュニアNISA」の枠がなくなり、「新NISA」では、日本に住んでいる18歳以上の人なら誰でも作れるようになります。

元々「ジュニアNISA」は、途中で自由に引き出しのできない、お子さんの将来の為を考える親御さんのための口座と言う側面がありました。

贈与税の非課税枠の範囲内となる「年間80万円」の非課税枠を使って、お子さん用の「教育などの将来の資金」として使われる「ジュニアNISA」はどちらかというと「貯蓄」としての意味合いが強かったのです。

しかし、「新NISA」では、18歳以上(2023年から成人年齢となっています)の方々が、「資産運用」として使えるように整備されたものになるわけですね。

現行制度との変更点

現行の「つみたてNISA」と「一般NISA」は、制度改定でそれぞれ「つみたて投資枠」と「成長投資枠」となり、両方を併用できるようになります。

変更点を一覧にしてみました。

つみたてNISA NISA 新NISA
投資可能期間 2042年まで 2023年まで 恒久化
制度選択 併用不可 つみたて投資枠と成長投資枠の併用可能
非課税保有期間 20年 5年 無期限化
年間投資枠 40万円 120万円 つみたて投資枠120万円
成長投資枠240万円
非課税限度額 800万円 600万円 1,800万円
(成長投資枠は1,200万円)

投資可能期間

これまで、NISA口座で運用できる期間には限度がありました。

現行のつみたてNISAの場合

例えば、2020年からつみたてNISAを開始した人は、期限となる2042年までの間で、20年、40万円/年の運用が可能でした。つまり、早く投資を始めた方ほど余裕があり、どこかの1年間は投資をしないという選択もできたわけですが、これからの新NISAでは期限がありませんので、時間を気にせず投資を行えるというわけです。

「新NISA」では、期間が恒久化になったため、逆に投資を始める時間が遅くなっても焦らずに投資ができるようになっています。

制度の併用が可能に

これまでは、「NISA」と「つみたてNISA」は、選択制で年間でどちらか一方しか選べませんでした。

選択とは?!

当年で「NISA」口座で運用していた場合、「つみたてNISA」口座の作成はできませんでした。

すべて売却などで「NISA」口座内に金融商品が何もなくなれば、翌年は「つみたてNISA」口座への変更ができたのです。

その年に「NISA」口座も「つみたてNISA」口座も両方作成する、という運用はできなかったわけですね。

「新NISA」でも投資対象となる金融商品は以下のように変わりません。

投資対象

つみたて投資枠:投資信託(金融庁指定)のみ
成長投資枠:株式、投資信託など

「新NISA」では、一方でローリスクローリターンの投資信託で「積立」をしながら、もう一方では上場株式(国内・海外)を含めた金融商品に資金を投入できるようになりました。

つまり、これまでの「NISA」と「つみたてNISA」から変更となる「成長投資枠」と「つみたて投資枠」をいつでも同時に利用できるように変更となったのです。

現在の「NISA」で、「つみたてNISA」口座を使わず、「NISA」口座だけで運用してきた方は、「新NISA」を最大限に活用するなら「つみたて投資枠」も利用する必要があります。

非課税保有期間

現在、「NISA」口座で投資を行っている場合、Aという定期的に配当収入を生み出す株式を持っているとしたら、その配当は非課税となります。

しかし、このA株は「非課税保有期間」の5年を過ぎると、配当が非課税とならなくなるため一旦売却するか、保有を継続するために「ロールオーバー」して改めてA株の配当を非課税にする手続きが必要となります。

特に、ロールオーバーの手続きに面倒を感じる方も多かったはずです。

しかし、「新NISA」では、非課税保有期間が「無期限」となりました。

つまり、限度額内であれば「新NISA」口座で保有している株式や債券から発生する利子・配当収入、売却益などは何年たっても非課税となり、無期限なので面倒な「ロールオーバー」手続きの必要もありません。

年間投資枠

1年間に非課税にできる投資額が、現在の「NISA」では、「つみたてNISA」が40万円まで、「一般NISA」が120万円までとなっていましたが、「新NISA」では、「つみたて投資枠」が120万円まで、「成長投資枠」が240万円までと増加します。

「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の両方が併用可能なので、1年間に合計で360万円までの投資商品の利益を非課税にできるようになったわけです。

もちろん満額まで投資商品を購入する必要はありませんし、1年間の投資額は自分のペースで決めても大丈夫です。

割り切れる!

現在の「つみたてNISA」は、非課税となる投資金額の上限が1年間に40万円まででした。
これは、1か月で計算すると、「40万円÷12カ月=3.3333・・・」となり、1カ月の最大積立額が「33,333円」という何とも中途半端な数字でした。

しかし、「新NISA」では、「つみたて投資枠」の1年間の上限が120万円となり、晴れて1カ月の最大積立額が「10万円」と割り切れる数字になりました。

非課税限度額

さて、最後の「非課税限度額」ですが、変更点としてはここが大きなポイントとなるでしょう。

まず、これまでは非課税となる投資金額の限度が「つみたてNISA」が800万円、「一般NISA」が600万円までと決められていました。

これが「新NISA」では、1人「1,800万円まで」の非課税限度額が設定されます。

「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の併用が可能なので、両方で合計1,800万円までの投資金額から発生する利益に対して非課税となるわけですが、その中で「成長投資枠」については上限が1,200万円までと決められています。

上の図は、1,800万円の限度額をどのように配分できるかを例として4つ挙げてみたものです。

  1. つみたて投資枠:1,300万円、成長投資枠:500万円
  2. つみたて投資枠:1,000万円、成長投資枠:800万円
  3. つみたて投資枠:600万円、成長投資枠:1,200万円
  4. つみたて投資枠:300万円、成長投資枠:1,500万円

4番の配分だけは”NG”となります。

前述のとおり「成長投資枠は1,200万円まで」なので、1,500万円を「成長投資枠」の上限にはできないからです。

逆を言えば、「成長投資枠が1,200万以内」であれば、「つみたて投資枠」はいくらに設定しても問題ありません(全額をつみたて投資枠で運用してもOK)。

さて、「新NISA」では「つみたて投資枠」、「成長投資枠」で保有していた投資商品を売却した際に、その空いた分を再利用できるようになりました。

現在の一般NISAの場合

新NISAの場合

つまり、1人の生涯上限投資額である1,800万円以内(成長投資枠は1,200万円以内)であれば、どのタイミングで保有している金融商品を売却してもいいし、どのタイミングで銘柄を買い直してもよくなり、運用の自由度がより高まった、と言えるでしょう。

現在のNISAを利用している方は・・

さて、「新NISA」の開始が”2024年1月1日から”と発表されましたが、そうなると気になるのが、「現在、NISA口座を利用している方のこれから」ではないでしょうか。

2023年は現在の「NISA」を利用するラストイヤーとなりますが、実は現在の「NISA」を既に利用している方はそのまま継続しても、2024年からの「新NISA」で生涯1,800万円までの非課税投資枠はもらえます

つまり、『2023年から「NISA」を始めてみよう!』と思った方でも、2023年は旧制度を使いつつ、2024年から新たに「新NISA」を利用できるようになるというわけです。

したがって、既に”投資を始めてみたい”と考えている方は、「新NISA」の開始を待たずに、すぐにでも現制度の「NISA口座」を開設してもらった方がおトクに活用できるのです。

まとめ運用面の難易度が上がる?!

参考であったイギリスの「ISA」制度よりも非課税期間が短く投資限度額も低かった現在の「NISA」を見直した結果、個人投資家には嬉しい制度改正となりそうな「新しいNISA口座」ですが、年間の投資上限額が上がればもちろん難しい面も増えてくるでしょう。

これまで、「つみたてNISA」で投資信託のみを運用してきた方は、つみたて投資枠での投資限度額と同時に株式などへの投資もできる成長投資枠も利用できるようになったおかげで、むしろ投資の幅が勝手に広がってしまったからです。

もちろん、「新NISA」になっても、投資信託のみで運用していくのも可能ですが、やはりリスクをとったリターンの大きい投資商品も保有するなど、「NISA口座で運用されている商品の抜本的な見直し」が必要になるかもしれません。

「自由が増えると管理が難しくなる」のは投資に限った話ではないのですが、「新NISA」は非課税のために自由に好きなように投資できる部分が増えましたから、一層ポートフォリオの管理にも気を引き締めたいところですね。

  • この記事を書いた人

宮嶋僚

北海道の道南で小さな会社を経営する兼業個人投資家です。投資をこれから始める人のために分かりやすくそして役に立つサイト運営を心がけています。 どうぞよろしくお願いします。

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