さて、前回はアメリカの主要な経済指標の内、以下の3点について確認しました。
- 雇用統計
- 消費者物価指数
- 小売売上高
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今回出てくる経済指標は、前回と大きく違う点があります。
それは、個人消費に関わる指標か、企業に関わる指標かという違いになります。
企業の指標を探る方が、消費者の動向を探るより経済の動きを素早くキャッチできます。
ポイント
企業の動向を判断できる主な経済指標を抑える
個人消費の指標より景気を先取りできる
ISM景況指数
「ISM景況指数」は、全米供給管理協会(ISM)が調査し、毎月第1営業日の10時(日本時間の23時)に発表されます。
景気の動きを先取りする上で非常に重要視されている指標となります。
メーカーである「製造業」と小売り・サービス業の「非製造業」に分けて発表されます。
日本だと日銀短観が重要視されますが、日銀短観とは違い50%を景気の分岐点として50%を上回ると景気が良くなり、50%を下回ると景気が悪くなっていると判断できます。
ISM景況指数を見て50%を超えているようであれば、企業活動が活発になり給与のアップや雇用の増加につながるだろうと予測できるわけです。
市場の動向をいち早く捉えられるので、景気の転換や金利の動向を読みやすくなります。
メモ
発表:供給管理協会(ISM)
時期:毎月第一営業日、日本時間23:00
生産者物価指数
前回、「消費者物価指数」が出てきましたが、その企業版とも言えるのがこの「生産者物価指数(PPI)」となります。
アメリカ労働省が「消費者物価指数」と同じタイミングで発表します。
アメリカ国内のメーカーが販売する1万品目の価格を数値化したものになり、企業側の販売価格が値上がりするとインフレ傾向にあると判断できるわけです。
ただ、「消費者物価指数」と同様に天災・人災を含めた季節変動があるので、これらを除いた「コア指数」が重要視されます。
この指標の数値が上がっても、消費活動も同様に上向きにならなければ、企業負担が増すだけなので、一概に数値が上がればいいというものではありません。
また、物価指数はどちらかと言うと「消費者」の方が重要視されます。
メモ
発表:アメリカ労働省
時期:毎月15日頃、日本時間21:30
新規住宅着工件数・中古住宅販売件数
アメリカ商務省が発表する新築住宅と中古住宅の件数に関する指標が「新規住宅着工件数」と「中古住宅販売件数」の2つとなります。
新築着工、中古販売のどちらも件数が増えると、景気が上向きとなり金利が上昇し、ドル高となります。
サブプライムローンは、ローン返済のあてがない低所得者にどんどん家を買わせたため、一瞬で景気が上昇。バブル状態となり、それが破裂して急激に金利が下がって、ドル安となった現象に陥りました。
これがいわゆる「リーマン・ショック」ですね。
「新築住宅」は金利が上がると、金利が低いうちに住宅ローンを組んでしまおうと判断され、消費拡大しやすくなります。
リーマンショックも同様に、所得が低くてもローンを組めると噂を聞きつけた人達が、
”金利が上がる前に買ってしまえ~”
と一気に消費拡大したわけです。
ただし、市場規模は中古住宅の方が大きいため、「中古住宅販売件数」の方が先に経済へ影響します。
どちらも景気の先行指標であり注目度が高い経済指標となります。
メモ
発表:アメリカ商務省
時期:(新規住宅着工件数)毎月15日頃、日本時間21:30
時期:(中古住宅販売件数)毎月25日頃、日本時間23:00
S&Pケース・シラー住宅価格指数
四半期に一度、ファイサーブ社が算出し、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が発表する経済指標となります。
全米の主要都市の住宅価格動向を示し、個人消費に大きな影響を与える指標となります。
調査対象は以下の4つになります。
- 全米住宅価格指数
- 10大都市圏指数
- 20大都市圏指数
- 大都市圏指数
毎月の住宅価格の相場を見る場合は「20大都市圏指数」が使われます。
「大都市圏指数」は、「20大都市圏指数」の20の地域個別の指数となります。
リーマンショックの2008年以降に、これまで上昇していたこの指数が一気に下落しました。
メモ
発表:スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)
時期:最終火曜日、日本時間22:00
住宅着工件数・建設許可件数
最後に、アメリカ商務省によって発表される「住宅着工件数」と「建設許可件数」です。
「建設許可件数」は「住宅着工」の前に発行される建設許可の件数となるため、「住宅着工件数」の先行指標となります。
なお、「建設許可件数」には政府や自治体が公共事業として建設するものは含まれません。
建設申請は企業が中心なので、件数が多くなれば企業に資金の余裕があったり、銀行からの融資を受けやすい状況にあると考えられます。
「住宅着工件数」は、一か月ごとの集計ですが、季節要因で変動する年率の調整値を使って戸建てと集合住宅それぞれで、集計されます。
住宅と合わせて、家具なども含めた個人消費への波及効果が大きく、他の住宅関連の経済指標と同様、インフレやデフレの傾向を掴みやすくなっています。
メモ
発表:商務省
時期:第3週、日本時間21:30
まとめ
さて、今回は企業動向に関する重要な経済指標をピックアップしてみました。
これらは、証券会社からその日の経済指標をメルマガなどで受け取っている場合、必ず重要な指標として挙げられています。
- ISM景況指数
- 生産者物価指数
- 新規住宅着工件数・中古住宅販売件数
- S&Pケース・シラー住宅価格指数
- 住宅着工件数・建設許可件数
是非、整理しておいてください。